モーツァルトとの出会いは意外にもスランプにありました。これまで、美味しいお茶を求めて様々な取り組みをしてきていましたが、これまでとは違ったひと工夫された美味しいお茶を求めて『さて、どういう工夫にチャレンジしようか』とふとアイデアが枯渇したのがきっかけでした。その時、マスコミなどで美味しい牛肉を生産するために、音楽を聴かせるという取り組みの報道を目にしました。とにもかくにもお客さんに喜んでもらえる美味しいお茶を作りたい。そこでこのニュースをヒントに音楽を茶畑の茶葉に聴かせて育成してみよう、これが今日の『モーツァルトのお茶』の始まりでした。
さて音楽は何にしよう。その出会いは偶然でした。その年の2007年はモーツァルト没250年の年でした。クラシック音楽に特に造詣が深いということはありませんが、モーツァルトは知っていました。その明るく健全ではつらつとした音楽的特徴が茶葉の育成にいいのではないか、それがひらめきでした。そして、さっそく実験してみたところ、その年のお茶の成績は『世界緑茶コンテスト・最高金賞』という栄光に導かれていきました。
茶葉に聞かせる楽曲は、モーツァルトならなんでもいいという訳ではありませんでした。これまでの実績から判断して『マイネ・クライネ・ナハト・ムジーム』『フィガロの結婚』『交響曲第40番』『トルコ行進曲』を聞かせています。音楽と茶葉の育成において必ずしも確定的な科学的根拠があるわけではありません。しかし、成果は出せていると考えています。『世界緑茶コンテスト・最高金賞』を始め数々の賞の受賞をいただけたこと、そのことが成果だと考えています。
物事の成果はいくつもの側面から成果が出てくることがあります。モーツァルトを聞かせることもこれにならい、お客様ならびに関係各ご方面からのご評価はもちろんのこと、もうひとつ思わぬ成果がありました。それは家族従業員の団結です。モーツァルトの音楽を一定期間茶葉に聞かせるためには、CDを取り替えながら曲を継続しなくてはなりません。このために、音楽が鳴っているかどうかをいつも家族従業員が気にするようになりました。そのことによって、茶葉の育成に関して家族従業員の気持ちの団結がおこり、生産体制がこれまでよりより一層強固になっていくことになりました。今後もさらに研鑽をつみ様々な取り組みを行い、美味しいお茶をご提供していきたいと考えています。